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four cigarettes for story

four cigarettes for story

introduction

four cigarettes for story

嫌煙家という言葉が言われるようになって久しい昨今。
煙草に対する風当たりは日々強くなっています。

しかし、煙草と小説というものは、実は共通点が多いということを知っていますか?

例えば、どちらも嗜好品で、人生において必須というわけではありません。
けれどどちらも、人生に深みを与えてくれる存在です。

たった1本の、あるいはたった1冊の煙草や本が、人生を変えることもあるでしょう。
気持ちを入れ替える手助けをしてくれたり、もっと単純に、手持無沙汰を紛らわせてくれるという効果も、二つの共通点と言えるでしょう。
(電車の中で煙草は吸えませんが……)

この本は四人の物書きの、煙草にちなんだ短編を収録したアンソロジーです。
この本が、あなたの人生に深みを与えられるような存在になれれば幸いです。

けれど、読み始める前に、ちょっとだけご注意を。
煙草と同じように、この本にも少しの毒が含まれているかもしれませんよ?

01

桃と象の咳き込む旅

彼らは当てもなく、歩き続ける。少年はナイフを手に、少女は煙草をくわえながら……。
「煙草、やめろよ」
少年の言葉を無視して、少女は煙を吸い込むと、また小さく咳をする。

叶えばいいと願いながら。あるいは、叶うはずないと知っていながら。
真っ白な壁に描いたささやかな夢を探して、少年と少女は旅を続ける。

02

デイドリーマー

唐突だけど、僕は喫煙所が好きだ。
僕の趣味は、喫煙所に居合わせた人を観察し、その素性を予想すること。

そう。例えば、あそこで電子煙草を吸っているサラリーマン風の男性。
彼の正体は、……実は宇宙人だ。
そしてその横にいる女性は超能力者で、隣のライダースジャケットの男性は、その護衛。
うん。間違いない。

03

ホームスイートホーム

無機質なコンクリートで囲われた部屋で煙草を吸っている。
コンクリートを打ちっぱなしにした壁や、午後には直射日光が入らなくなる窓、そして唯一の利点ともいえる遮音性の高さ。
少年時代に憧れた自分だけの秘密基地を現実にしたようなこの部屋を、僕は気に入っていた。

仕事の合間や読書の最中に煙草に火をつけてぼんやりとしていると、隣から自分のものではない微かな気配を感じる。
僕は幽霊と暮らしている。

04

頑張ってたのは……

大学卒業以来、数年ぶりにみた母の死に顔は、まるで眠っているように穏やかだった。
自分にも他人にも厳しく、いつも僕を叱っていた母。
怒っていない母の顔を見るのは、もしかしたら初めてだったかもしれない。

ねえ、母さん。そんなに頑張って、頑張って、あなたは何を手に入れようとしていたのですか?
最後に、そう母に聞いてみたいような気がしたけれど、きっと母の答えは決まっていたのだろう。
そう思うと、なんだか急に笑ってしまいそうなくらい、寂しくなった。

DETAILS

cirlce YOTAYU-amplifier
event 2016.02.12 COMITIA119
space ま25b
price on event 300JPY
dimension 105mm x 148mm

MEMBERS

水上下波 @pooohlzwg Edit , Writing
タケミツアン @TakemitsuaN Design , Writing , Website
はぐれ牛鳥 @hagureushidori Writing
KOU @KOU182 Writing
YTY001 / © 2017 YOTAYU amplifier